研究概要 |
腹腔内投与効果の検討: アスコフラノンの抗クリプトスポリジウム効果を調べるためにクリプトスポリジウム症マウスモデルを用い治療実験をおこなった。SCIDマウスにクリプトスポリジウムのオーシストを5x10^5個経口投与し糞便にオーシストが10^5/g以上排出されていることを確認しアスコフラノンの腹腔内投与を開始した。投与量は100、200mg/kg、投与回数は1日一回、投与日数は6日間とした。200mg/kgアスコフラノン投与群では投与開始時2.9x10^5±2x10^4/gであった排出オーシスト数が1, 2, 3, 4, 5, 6日目には7.8x10^4±3.8x10^4/g,4.7x10^4±2.1x10^4/g,2.1x10^4±1.8x10^4/g,1.8x10^4±0.8x10^4/g,0.8x10^4±0.65x10^4/g,0.45x10^4±0.26x10^4/gと減少傾向を示したがオーシストの消失は観察されず、投与を止めると再びオーシストの排出が増加した。腹腔内投与において200mg/kg6日間の連続投与においてアスコフラノンの抗クリプトスポリジウム効果は観察されたが完全にオーシストの排出を止めることはできなかったのでより血中濃度の高い静脈注射による治療を検討する必要があることが判明した。 クリプトスポリジウムのAOXの電子顕微鏡による局在の検討: 免疫電子顕微鏡法を用いAOXの局在を調べたが免疫電子顕微鏡標本作製の段階で脱嚢原虫を純粋に得ることが非常に難しく、まず脱嚢した栄養型原虫の精製法から検討する必要があることが判明した。
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