研究課題/領域番号 |
21590471
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
木村 英作 愛知医科大学, 医学部, 教授 (70153187)
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研究分担者 |
高木 秀和 愛知医科大学, 医学部, 講師 (90288522)
角坂 照貴 愛知医科大学, 医学部, 講師 (90109760)
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キーワード | ネズミ糞線虫 / 大腸寄生 / 自食作用 / 遺伝子解析 |
研究概要 |
ネズミ糞線虫は小腸寄生の後期(寄生後7-19日頃)に、宿主の防御作用に対応して形態的、生理的、分子生物学的な変化をとげ、生命機能の大転換を図る。その結果、通常では起きない大腸寄生が確立され、長期間にわたって多くの虫卵を産出することが出来るようになる。本研究の目的は、この大転換のメカニズムを解明することである。 大腸寄生のメカニズム解明の一つとして、大腸寄生時に特異的に発現する遺伝子の探索を行った。小腸寄生成虫と大腸寄生成虫のc DNAを用い、differential screening法による網羅的な解析の結果、C.elegansで寿命に関連すると報告されているfork head transcription factor(fktf)と機能は不明であるが核酸と結合する領域を持つ遺伝子(KH domain protein遺伝子[仮名])を得た。fktfには1aと1bがあり、fktf-1bは小腸下部寄生時から発現量が増加するのに対し、fktf-1aは大腸寄生時に増加することがわかった。 一方、電子顕微鏡を用いた研究により、大腸寄生成虫の消化管細胞内ミトコンドリアは小腸寄生成虫のそれと比べると、変性・崩壊しているものが多いことが示された。形態的には自食作用と考えられる。消化管腔は空でつぶれており、消化機能を果たしてないように思われた。これに対し、筋細胞内のミトコンドリアの形態は正常であった。大腸寄生を維持するための大転換の一面と考えられる。
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