研究課題/領域番号 |
21590471
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
木村 英作 愛知医科大学, 医学部, 教授 (70153187)
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研究分担者 |
高木 秀和 愛知医科大学, 医学部, 講師 (90288522)
角坂 照貴 愛知医科大学, 医学部, 講師 (90109760)
伊藤 誠 愛知医科大学, 医学部, 教授 (90137117)
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キーワード | ネズミ糞線虫 / 大腸寄生 / 自食作用 / 遺伝子解析 |
研究概要 |
小腸に寄生するネズミ糞線虫の成虫(Ad)は3週間ほどでラットの免疫により排除される。我々は、寄生19日以降、一部の成虫が大腸に寄生を続けることを報告した。この成虫は、宿主の免疫に抵抗性(排虫されない)で、かつ大腸内で多数の虫卵を産むので、小腸寄生のAdとは異なる特殊な成虫(Adpt-Ad)である。本研究ではAdpt-Adが生じるメカニズムの解明を進めている。 これまで、AdとAdpt-Adから得られたcDNAを用い、Differential screening法にてAdpt-Adにおいて発現量が増加する遺伝子を幾つか発見した。その中で特に、アセチルコリンエステラーゼ遺伝子およびforkhead transcription factor(fktf-1a, -1b : C.elegansのdaf-16に相当)に注目して研究を進めている。さらに、HSF-1(ストレス応答に関与する転写因子)は感染19日目の小腸寄生AdからAdpt-Adとして大腸に適応すると発現量が上昇し、fktf-1a, -1bとパターンが似ていた。 また、daf-7(TGF-β)とdaf-12(hormone receptor)の場合は、感染19日のAd(小腸寄生)で発現量が増加していた。現在、これらの遺伝子とAdpt-Adの出現がどう関わるのかを解明するための基礎的研究を続けている。 一方、粘膜肥満細胞は、Adの小腸からの排虫に関与することが知られている。しかし大腸のAdpt-Adとの関わりは研究されていない。今回、小腸上部・下部、盲腸及び結腸において、糞線虫感染に伴う肥満細胞の変化を経時的に調べた。その結果、腸管の全ての部位において、AdやAdpt-Adに関わらず、成虫の虫体数依存的に肥満細胞が増加することがわかった。肥満細胞は免疫抵抗性の無いAdの排虫により強く関与するようである。
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