研究概要 |
慢性炎症性疾患やショックの誘導には複数のサイトカイン血中濃度が高くなる高サイトカイン血症がその背景に存在すると考えられた。平成21年度の当該申請研究では、マウスマラリア原虫を用い、感染により誘導されるショックがどの様なサイトカインによりメデイエートされるかを蛋白レベルでの多項目解析を可能にしたサスペンションアレイシステムを用いて解析した。その結果、マラリア感染により誘導されるショックにおいてはIL-1α, IL-1β, IFN-γ, IL-6, IL-12 p70, KC, IL-17, TNF-αなどの多くの炎症性サイトカインの産生が誘導される高サイトカイン血症の状態がその背景に存在することが明らかとなった。病態の重篤化にはIL-1α, IL-1β, TNF-αなどの炎症性サイトカインが活性化された好中球の関与が示唆された。一方感染により誘導されるIL-18は抑制性サイカインであるIL-10の産生に深く関与し、このIL-10が過剰な免疫応答により誘導される感染性ショックを抑制する重要な作用を持つことが明らかとなった。
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