研究概要 |
ブドウ球菌エンテロトキシンA(SEA)は黄色ブドウ球菌の産生する菌体外タンパク質で嘔吐誘導活性を示す一方、スーパー抗原活性を有することが知られている。しかし、SEAによる食中毒のメカニズムと受容体についてほとんど解明されていない。本年度の研究では: 1.SEA催吐シグナル受容体の検索,解析-SEAとスンクス腸管細胞・神経細胞との結合の解析。rSEAまたはmSEAをそれぞれスンクスに経口または腹腔内投与し,その後,胃・腸管・脳をサンプリングし,組織切片を作製した.抗SEA抗体と免疫蛍光染色によりSEAと結合する腸管部位,腸管上皮細胞,リンパ細胞などの経時的の変化を観察・解析した。 2.作製したrSEAと各種のmSEAをそれぞれ腸管上皮細胞及び神経細胞に刺激し,細胞の形態,エフェクター分子の発現,神経伝達物質(特に5-HT)の産生と放出を比較検討し,催吐活性に重要なターゲット細胞を検索した。 3.SEAと神経細胞との結合および結合受容体の検索,解析-SEAとヒト神経細胞(ENStem-A)との結合性について免疫染色により解析した.さらに,結合している細胞表面分子をfar Western blottingおよびpull down assayにより解析した.SEAは神経細胞と結合し、神経伝達物質を促進することを見出した。
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