研究概要 |
ブドウ球菌エンテロトキシンA(SEA)は嘔吐誘導活性を示す一方、スーパー抗原活性を有することが知られている。しかし、これまで適切な嘔吐動物モデルがなかったため,SEAによる食中毒のメカニズムとその受容体についてほとんど解明されていない。本年度の研究では: 1.SEA催吐シグナル受容体の検索,解析.これまで精製したSEAまたはmSEAをそれぞれスンクスに経口または腹腔内投与し,その後,胃・腸管・脳をサンプリングし,組織切片を作製したSEAと結合する腸管部位,腸管上皮細胞,リンパ細胞などの経時的の変化を比較解析した. 2.SEA投与前に,細胞受容体Vanilloid receptor,5-HT receptorアンタゴニスト,またはSubstanceP阻害剤をそれぞれ投与し,'その後,SEAによる嘔吐反応に対する抑制効果を検討した. 3.anilloid receptorアンタゴニストを投与した1時間後,さらにSEAを投与し,30分,60分,90分後に胃・腸管・脳をサンプリングし,組織切片を作製した.二重蛍米免疫染色によりSEAと結合細胞,vanilloid receptor発現細胞を特定した. 4.SEAを神経細胞に刺激し,エフェクター分子の発現,神経伝達物質(特に5-HT)の産生と放出を比較検討し,催吐活性に重要なターゲット細胞を検索した. 5.SEAと神経細胞株(ENStem-A)との結合性および結合していた細胞表面分子をfar Western b1ottingおよびpull down assayにより解析した.SEAは神経細胞と結合し、SEAの刺激により細胞のcAMPの産生と神経伝達物質(5-HT)を促進したことを明らかにした.
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