研究概要 |
1. 順天堂病院検査室より本年度の皮膚科外来MRSAの5株を順天堂浦安病院検査室より皮膚科外来患者由来MRSA7株を分与頂き、SCCmecのタイプを調べるとともに、PVL遺伝子の保持を検討した。その中にはPVL陽性株は存在しなかった。しかし他の目的で検査室から分与いただいたMRSA20株を調べたところ、たまたまPVL陽性菌の存在が見いだされた。今後さらに検討する予定である。 2. 2007-2008年に分離された順天堂病院分離PVL陽性3株のSCCmecタイプの決定を始めとする分子疫学的解析を行ったところ、ST8-typtelVaSCCmec株,ST30-type IVc SCCmec株,ST772-type VSCCmec株であることが判明した。ST8株は米国分離USA300株と全く同じPFGEにおけるbanding patternを示した。ST30-typeIVc株は我が国で以前から蔓延している株である。ST772-typeVSCCmec株は、新しいクローンであることが推定された。 3. ラテックス凝集反応を用いて教室に保存しているPVL陽性株の産生量を測定した。PVL産生量は使用する培地によって変化すること、CCY培地と呼ばれるPVL産生を促進する培地はその中に含まれるピルビン酸が主要な役割を果たしている事を明らかにした。今後更に検討を続ける予定である。 4. 肺培養細胞等に関しては、順天堂大学共同細菌に協力を依頼し、培養系の確立に着手した段階である。
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