研究課題/領域番号 |
21590496
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
八木 淳二 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (70182300)
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研究分担者 |
今西 健一 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (20132920)
有村 裕 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (10281677)
大森 深雪 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (30462667)
加藤 秀人 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (00241084)
春田 郁子 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (80221513)
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キーワード | LECT2 / SEA / D-galactosamine / 敗血症性ショック / 炎症性サイトカイン |
研究概要 |
[研究I]1.B6マウスに1.0mgのstaphylococcal enterotoxin A(SEA)をD-galactosamine(D-GalN)20mgとともに投与すると、24時間後に肝臓の瀰漫性の出血と肝細胞の強度のアポトーシス誘導とともに、肺において瀰漫性の出血を観察した。0.1mgのSEA/D-GalN投与では、24時間後にB6マウスでは肝臓と肺の極軽度の出血のみを認めたが、leukocyte cell-derived chemotaxin 2(LECT2)-/-マウスでは、1.0mg SEA/D-GalN投与B6マウスとほぼ同等の強度の肝、肺病変を来した。1.0mg SEA/D-GalN投与B6マウスの血漿中のLECT2濃度の変動は、約50ng/mlから投与後速やかに減少し、12時間から18時間後まで最低値を示した後72時間後までに正常値まで上昇した。投与後12時間の血漿LECT2濃度の減少と血漿TNF-a、IL-6およびMCP-1濃度の上昇の程度ないし72時間後の致死率は、正の相関を認めた。B6マウスへの1.0mg SEA/D-GalN投与の0.5および6時間後に5.0mgのLECT2を投与すると、生存率の50%の上昇と血漿TNF-a、IL-6の著明な減少を誘導した。2.盲腸の結紮・穿刺による3日後の生存率をB6マウスとLECT2-/-マウスで比較すると前者が約40%高かった。[研究II]東京女子医科大学病院ICUに敗血症性ショックの診断で入室した14名の患者血漿LECT2濃度は、32名の健常成人の濃度よりも有意に低値でありかつ血漿IL-6およびIL-8の有意な上昇を伴っていた。ICU退室直前ないし直後の患者血漿LECT2濃度は、有意に上昇を認めた。以上の結果より、LECT2は、炎症性サイトカインの抑制ないし肝細胞の直接的な庇護作用により生体の強度の異常反応を制御する可能性が強く示唆された。
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