近年HIV-2アクセサリー蛋白質Vpxの標的分子として、ウイルスゲノム逆転写反応をマクロファージ特異的に阻害する抗HIV宿主因子の存在が示された。本研究の目的は、この宿主因子を同定し機能を明らかにすることである。本年度はまず、マクロファージのモデルとしてPMAで分化させたTHP-1細胞が使えるかどうか調べた。THP-1細胞にPMAを添加しインキュベーションした後に、HIV-2ウイルス(GL-AN)を加えメディウムを交換しながら3週間培養した。しかしウイルス感染は見られなかったため、モノサイト由来マクロファージ(MDM)を用いることにした。ヒト健常人の全血からのMDMの調整を検討し、MDMを得ることができた。一方、同定すべき宿主因子とVpxとの結合には15番目のグルタミン酸(E^<15>)が関わるという報告が最近なされた。そこで、E^<15>の変異体には結合せず野性株Vpxに結合する蛋白質をMDM抽出液から探索することにした。そのために、E^<15>をグリシンに変えた変異Vpxの発現ベクター(pEF-FxE15G)を構築した。今後はこのベクターと野生株Vpxの発現ベクター(pEF-Fvpx)を用いて発現させた蛋白質を固定化し、それをMDM抽出液とインキュベートすることで候補蛋白質を取り出したいと考えている。
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