近年HIV-2アクセサリー蛋白質Vpxの標的分子として、ウイルスゲノム逆転写反応をマクロファージ特異的に阻害する抗HIV宿主因子の存在が示された。本研究の目的は、この宿主因子を同定し機能を明らかにすることである。昨年度、マクロファージのモデルとしてPMAで分化させたTHP-1細胞が使えるかどうか調べたが、HIV-2ウイルス(GL-AN)感染は見られなかった。THP-1細胞は由来が異なると性質も大分異なるとの情報を得たため、本年度は引き続き由来の異なるTHP-1細胞をPMAで分化させ、GL-AN感染を試みた。しかし、未だに感染には成功していない。今後は、初回感染時のタイターを上げて感染を試みたいと思っている。一方、同定すべき宿主因子とVpxとの結合には15番目のグルタミン酸(E^<15>)が関わるという報告が最近なきれた。そこでE^<15>の変異体には結合せず野性株Vpxに結合する蛋白質を探索することにした。そのために昨年度、E^<15>をグリシンに変えた変異Vpxの発現ベクター(pEF-FxE15G)を構築した。本年度は、まずこのベクターと野生株Vpxの発現ベクター(pEF-FxE15G)から、同じくらいで充分な量の蛋白質が発現されることを確認した。今後は、この蛋白質を固定化し、それをPMA分化THP-1細胞抽出液とインキュベートすることで候補蛋白質を取り出したいと考えている。現在、そのための準備を行っている。
|