研究課題/領域番号 |
21590515
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
藤澤 順一 関西医科大学, 医学部, 教授 (40181341)
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研究分担者 |
竹之内 徳博 関西医科大学, 医学部, 准教授 (20533235)
田中 正和 関西医科大学, 医学部, 助教 (20454613)
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キーワード | HTLV-1 / ヒト化マウス / マウスモデル / ATL / HAM / NOG-SCID |
研究概要 |
ヒト臍帯血由来造血幹細胞を免疫不全NOG-SCIDマウス骨髄内に移植することでヒト造血・免疫系を個体内に再構築したヒト化マウス腹腔内にHTLV-1感染ヒトT細胞株MT2を移入し感染を成立させたところ、感染ヒトTリンパ球の脊髄浸潤によるHTLV-1関連脊髄症様症状あるいは肝脾腫を伴う感染ヒトTリンパ球の白血病様増殖が観察された。 1.感染細胞ゲノムに組み込まれたHTLV-1プロウイルスを解析したところ、白血病様増殖を示したリンパ球ではgag領域とpX領域がほぼ同量検出されたのに対して、脊髄浸潤Tリンパ球においてはpX領域が約2倍量観察され、gag領域を欠損した欠損ウイルスの重感染の可能性が示唆された。 2.HTLV-1感染後、感染細胞数の増加に比例してCD25陽性CD4 Tリンパ球の割合が増大し、最終的に白血病様症状を示した個体では、末梢血の90%以上が感染CD25陽性CD 4Tリンパ球で占められ、かつATLに特徴的な花弁様分葉核をもつ感染細胞が観察された。また、LM-PCR法を用いたプロウイルス組み込み部位の解析から、感染細胞の増加に伴い感染細胞のクローナリティが減少する傾向が観察された。 3.感染ヒト化マウスにおけるCD25陽性CD4 Tリンパ球は、感染ヒト個体の場合と同様にCCR4を発現していたが、制御性T細胞の指標となるFoxP3の発現は観察されなかった。 4.Taxテトラマーを用いて、感染ヒト化マウス脾臓中のCD8陽性Tリンパ球の0.1%~2%にHLA拘束性抗TaxCTLの存在が確認され、さらに、白血病様症状を示した個体では感染初期のマウスよりもその存在率が低い傾向が観察され、感染ヒト個体との類似性が示唆された。 以上の結果より、細胞レベルでのTax発現量の相違が脊髄浸潤性に影響を与えている可能性が示唆されたと共に、HTLV-1感染ヒト化マウスにおいて、宿主抗HTLV-1細胞性免疫下での感染CD25陽性CD4 Tリンパ球のクローナル増殖と選択という、感染ヒト個体で想定されるATL発症過程が再現された。
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