研究課題
Severe Acute Respiratory Syndrome(SARS)「重症急性呼吸器症候群」の原因ウイルスとしてコロナウイルス科のSARSコロナウイルス(SARS-CoV)が同定されている。SARS-CoVの感染には宿主受容体ACE2が重要であることが報告されたが、感染成立と病態発現の詳細については未だ不明の点が多い。感染成立において、新たな「共受容体」が存在し、感染成立にはACE2に加えて第2の補助レセプターが必須である可能性を想定し、SARS-CoV感染の新たな共受容体の同定単離を試みた。まず、吸着・侵入機構および病原性発現の機構を明らかにするために、SARS-CoV偽ウイルス実験系を構築した。この実験系は、ヒト腎細胞株293T細胞にSARS-CoV-Spikeを導入することで偽ウイルスを調整することができ、この偽ウイルスを用い、宿主細胞株への侵入をLuciferase活性として定量的に解析することが可能である。COS7およびHRT18G株に偽ウイルスを感染させる系においてACE2が必須であることを確認した。これら細胞株にリコンビナントSpike(Spike-Myc)を添加し、共沈する蛋白を少なくとも2種類同定した。これらの蛋白が存在するとウイルス結合量が増加することが確かめられた。この蛋白について、その詳細を今後検討する予定である。
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Biochemical and Biophysical Research Communications 392巻
ページ: 171-177
Retrovirology 6巻
ページ: 1-9