研究概要 |
Severe Acute Respiratory Syndrome (SARS)「重症急性呼吸器症候群」の原因ウイルスとしてコロナウイルス科のSARSコロナウイルス(SARS-CoV)が同定されている。SARS-CoVの感染には宿主受容体ACE2が重要であることが報告されたが、感染成立と病態発現の詳細については未だ不明の点が多い。感染成立において、新たな「共受容体」が存在し、感染成立にはACE2に加えて第2の補助レセプターが必須である可能性を想定し、SARS-CoV感染の新たな共受容体の同定単離を試みSARS-CoV偽ウイルス実験系を構築した。COS7宿主細胞株への侵入をLuciferase活性として定量的に解析したところ、1)ACE2が必須であることを確認した。2)これら細胞株で共受容体を調べたところ、DC-SIGNとL-SIGNに共受容体がいずれも共受容体であることが判明した。次いで、感染にACE2あるいはDC-SIGN, L-SIGNのいずれの細胞質内領域が必要であるか検討した。その結果、ACE2の細胞質内領域は細胞内侵入に必要ではないこと、DC-SIGN,L-SIGNの細胞質内領域が関与することが示唆された。
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