研究課題
ヒトT細胞白血病ウイルス1型(human T-cell leukemia virus type 1 : HTLV-I)の感染によって惹起される悪性度の高い腫瘍性疾患である、成人T細胞白血病リンパ腫(Adult T-cell leukemia/lymphoma : ATLL)の病態解明や治療法の開発を目的としてヒトでの病態を反映したモデルマウスの開発を行ってきた。本研究では免疫機能を持つATLLモデルマウスを用いてATLL発症に係る生体の免疫機構との関連を調べ新しい発症予防法、及び治療法を開発する事を目的としている。本年度の計画に即してHTLV-1 tax遺伝子導入マウスに白血病細胞を移植する事により短期間で腫瘍および白血病を発症するモデルを構築し、腫瘍融解液を抗原に用いたワクチンによる白血病発症予防効果について調べた。ワクチンとしてUV照射した腫瘍融解液、アジュバントとして二本鎖RNAであるpoly(I:C),β-glucanを多く含むzymosanを加える群と加えない群、及びアジュバントのみを用いた群それぞれ腫瘍接種後に1週間間隔で4回皮下接種した。結果は腫瘍溶解液のみを接種した群で白血病発症を80%の個体で抑制された。アジュバントを投与した群では白血病の発症が認められた。今回の結果は腫瘍溶解液に腫瘍ワクチン抗原として有効な分子が含まれている事をしめしているが更に特異的な抗原の同定とアジュバント等に関し更に検討が必要である。
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