研究概要 |
ヒトT細胞白血病ウイルス1型(human T-cell leukemia virus type 1:HTLV-1)の感染によって惹起される悪性度の高い腫瘍性疾患である、成人T細胞白血病リンパ腫(Adult T-cell leukemia/lymphoma:ATLL)の病態解明や治療法の開発を目的としてヒトでの病態を反映したモデルマウスの開発を行ってきた。本研究では免疫機能を持つATLLモデルマウスを用いてATLL発症に係る生体の免疫機構との関連を調べ新しい発症予防法、及び治療法を開発する事を目的としている。本年度はATLの発症予防及び治療法になりうる免疫療法のターゲットとなる抗原の同定を行った。マウスATLを発症したモデル動物の白血病細胞の中からCD38^-,CD71^-,CD117^+の白血病幹細胞の分画とCD38^+,CD71^+,CD117^-の非幹細胞の分画に分け質量分析器を用いて白血病幹細胞に特異的に発現している蛋白を同定した。その結果白血病幹細胞(CSC)/非幹細胞(Non-CSC)比が2以上の分子が14種類得られた。そのうち比が10以上の分子が2つ得られた。これらの中には細胞膜に発現している分子もあり、ATLの免疫療法の分子ターゲットとなる事が期待できる。
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