研究概要 |
新規霊長類モデルを用いた急性慢性C型肝炎における自然免疫の意義に関する研究において、我々が新規に開発した霊長類サロゲートモデルを用いて、ウイルス感染過程に関する自然免疫応答の役割を明らかにすることを目的としてこれまで研究を進めて来た。その中で平成22年度に行った研究の成果を以下に述べる。平成21年度に確立した自然免疫の重要な役割を担うNK細胞の活性評価系とカニクイザルとタマリンにおいて抗CD16(3G8)抗体によるNK細胞のin vivo depletionの至適条件の検討の結果、50mg/kgの容量で抗CD16(3G8)抗体を投与することにより、NK細胞の減少がFACS解析により明らかになった。そこで、平成22年度では、カニクザルとタマリンに抗CD16(3G8)抗体を投与することにより、NK細胞数と活性が減少することをControl抗体(MOPC-21)投与群との比較検討により、in vivoにおいて確認した。その結果、MOPC-21抗体と比較し、抗CD16(3G8)抗体を投与することにより、生体内におけるNK細胞数と活性の減少が確認できた。これらの成果は、Yoshida T., et al. Frontiers of Microbiology, 2010の論文に掲載された。よって、今後はこの論文に掲載された方法であるin vivo depletion法を用いて、HCVのサロゲートモデルであるGBV-B感染タマリンモデルの感染急性期におけるNK細胞の意義あるいは役割を明らかにしたいと考えている。
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