研究課題
本研究の目的は、新規霊長類モデルを用いた急性慢性C型肝炎における自然免疫の意義に関して、我々が新規に開発した霊長類サロゲートモデルを用いて明らかにすることである。本研究の成果は以下の通りである。まず新世界ザルであるタマリンにおいてNK細胞の活性評価系を確立した。次にタマリンにおいて抗CDI6(3G8)抗体によりNK細胞のin vivo depletionが可能かどうかについて検討した。その結果、50mg/kgの容量で抗CD16(3G8)抗体を経静脈にて投与することにより、NK細胞の顕著な減少がFACS解析により明らかになった。また生体内におけるNK細胞数の減少に伴って、NK活性の低下が確認できた。興味深いことに、CD16陽性NK細胞がほぼ検出されない状態でも、血中NK活性は低いながらもある程度検出されることから、NK細胞はCD16陰性亜集団も存在することが示された。これを用いて、HCVのサロゲートモデルであるGBV-B感染タマリンモデルにて、感染急性期におけるNK細胞の意義あるいは役割を検討している。すなわちCD16陽性NK細胞を一過性に除去したタマリンにC型肝炎ウイルスと同じヘパシウイルスに属するGBV-Bを接種し、血中ウイルス量の動態および抗ウイルス抗体誘導能をコントロール群と比較している。これらの結果を踏まえ、今後はNK細胞による肝炎ウイルスなどの持続感染制御への関与についてより詳細に解析を進めていきたい。
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Archives of Virology
巻: 157 ページ: 363-368
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