病原体特異的成分を認識し、防御機構を作動させる受容体としてToll-like Receptor(TLR)が存在している。そのTLRの中で病原体の核酸成分であるRNAやDNAを認識する受容体がTLR7とTLR9である。しかし、このTLR7とTLR9は病原体の核酸だけでなくヒトの核酸成分をも認識しうる。そのため、TLR7とTLR9の核酸認識と活性化の機構は厳密に制御される必要がある。このTLR7とTLR9は、はじめ小胞体に存在する。そして病原体からの刺激依存的に、病原体の核酸成分を認識する場であるエンドソーム・ライソソームに移行する。この移行に関わる分子がUNC93b1である。我々はそのUNC93b1のアミノ末端側の領域にてTLR7とTLR9が制御されていることを発見し、論文を発表した。次にUNC93b1のアミノ末端側の領域を介したTLR7とTLR9の制御機構のin vivoにおける重要性を探るために、UNC93b1のアミノ末端側の領域に変異のあるノックインマウスを作製した。ノックインマウスは肺臓肥大をはじめとする様々な症状を示し、TLR7ノックアウトマウスと交配すると、その症状が消えることから、TLR7が重要な役割を果たしていることが明らかとなっている。この結果はUNC93b1を介した制御機構に異常が起こると、様々な病気に繋がることを意味している。我々はさらに、UNC93b1を介した制御機構を明らかにするためにUNC93b1に会合し、TLR7とTLR9の活性化制御に関わる分子の同定を行っている。UNC93b1と共沈する分子に対するLC-MS/MS解析やUNC93b1のアミノ末端側の領域をBaitとしたYeast Two Hybridにより、候補分子がいくつか明らかになってきた。それら候補分子のノックアウトマウスを用いて解析を行った。
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