研究課題
制御性T細胞(Treg)は免疫反応を負に制御し、免疫恒常性維持に必須の細胞群である。本研究では、Tregの分化において中心的な役割を果たす転写因子Foxp3に注目し、Foxp3転写コンプレックスを形成する因子の同定、解析を試みた。生化学的手法によりFoxp3転写complexを分離し、質量分析により構成要素を同定したところ、制御性T細胞の機能に関わる因子としてゲノムオーガナイザー Satb1とT細胞特異的転写因子Bcl11bを見いだした。培養細胞における過剰発現系では、Satb1およびBcl11bはFoxp3と特異的に結合した。Satb1を欠損するマウスでは、制御性T細胞に認められる特異的な脱メチル化パターンが消失し、自己免疫疾患を発症した。さらにこのマウスでは、末梢T細胞におけるFoxp3の発現誘導が亢進していた。これらのことは、Foxp3の誘導のみではTregの完全な分化誘導、抑制機能発現には不十分であることを示す。また制御性T細胞で特異的にBcl11bを欠損するマウスを解析した結果、Bcl11bはFoxp3依存的転写抑制に必須の因子であり、Treg抑制活性にも必須であることが明らかとなった。さらにBcl11bは、Runx1、Foxp3とともに巨大complexを形成し、Treg抑制機能発現に必要なCTLA-4等の発現をコントロールしていることを見いだした。これらの結果から、Foxp3は複数の転写因子と相互作用し、complexの構成要素に応じた転写制御をおこないTreg抑制活性を発揮していることが明らかとなった。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Immunity
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