研究概要 |
前年度の研究成果に基づき、自己免疫応答の視点でリンパ球活性化制御におけるDOCKXの機能を個体レベルならびに細胞・分子レベルで解析するために、DOCKX欠損マウスを用いて本研究を進めた。 (1)DOCKX欠損のMHCクラスII拘束性T細胞受容体トランスジェニック(TCRTg)マウスを用いて、T細胞受容体クロノタイプ特異的単クローン抗体により、胸腺内Tリンパ球分化過程における正と負の選択を解析した。 (2)免疫系に発現する新規CDMファミリー分子として同定したDOCKXが制御する低分子量G蛋白質を同定するために、Rac,Cdc42,Rap,RhoAを始めとした各種低分子量G蛋白質のGST融合蛋白質とDOCKXの会合実験を行った (3)多発性硬化症のマウスモデルとして広く用いられている実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)に対して制御性Tリンパ球の移入が発症抑制に効果を示すことが知られており、多発性硬化症治療への応用が期待され研究・開発が進められている。個体レベルでの多発性硬化症における制御性Tリンパ球を介したDOCKXの役割を解析するために、野生型およびDOCKX欠損マウスにミエリンオリゴ糖蛋白(MOG)のペプチドを投与してEAEを誘導し、DOCKX欠損がEAEの発症に及ぼす影響を比較検討した。 これらの研究成果に基づき、自己免疫応答の視点でリンパ球活性化制御におけるDOCKXの機能を個体レベルならびに細胞・分子レベルで解析を進める予定である。
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