(1)GISを用いた中核病院からのアクセスの差による健康格差の検討 北海道内各市町村の5年間平均の心疾患の標準化死亡比(SMR)について拠点病院へのアクセス時間を検討した。アクセス時間については、各市町村役場所在地を起点としてGISソフトウエアで自動車による到達時間を推定し、アクセス時間を説明変数として男女それぞれの心疾患SMR第4四分位となるオッズ比(OR)についてロジスティック回帰分析を行った。男性の心疾患SMRについて、アクセス時間が90分以上の群が30分未満の群に比べて有意に上昇していた(オッズ比(OR)=2.74、95%信頼区間(CI):1.06-7.12)。また、女性の心疾患SMRも90分以上の群では有意に上昇した(OR=4.77、95%CI:1.61-14.20)。心疾患にtuいても専門病院へのアクセスが重要と考えられる、しかし、拠点病院アクセスに90分以上の市町村は51(29%)に認め、効率的な配置を検討する必要があると考えられる。 (2)勤務医の過重労働・ストレス要因の検討 勤務医419名が解析対象となった。説明変数として、勤務地、当直(なし、月1-2回、3-4回、5回以上)、呼び出し当番の有無、労働時間、職業ストレス簡易調査票より要求度、コントロール、上司のサポート、同僚のサポート、家族・友人のサポートの各得点を用いた。うつ症状(+)はPHQ-9のスコア10点以上とした。PHQ-9によるうつ症状(+)は49名(14.1%)に認めた。勤務医のうつ症状については、当直がリスクとなり、仕事のコントロール良好な職場や家族・友人のサポートが良好であることが抑制的に働くことが示唆された。さらに、勤務医420名の解析では、Maslach Burnout Inventory-General Survey(MBI-GS)によりバーンアウトを評価し勤務医のバーンアウトについては、職業ストレスの要求度の上昇がリスクとなり、コントロール良好な職場や同僚、家族・友人のサポートが良好であることが抑制的に働くことが示唆された。 (3)ヘルスリテラシーの検討 日本で広く一般に用いることができるのは、15 item Japanese Health Knowledge testと考えられ、それを利用した受診行動に関する調査票を作成した。
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