研究概要 |
1)感染源、感染経路(mode of transmission)の予測 (1)アウトブレイクを経験した3施設(Serratia marcescens 1施設、VRE2施設)のアウトブレイク前後のデータ、マスコミなどに取り上げられるようなアウトブレイクを経験していない5施設(大学病院1,中規模研修病院1,小規模研修病院1,中小病院2)のそれぞれ5年分以上の全細菌検査データを研究用データベースに移植し、アルゴリズムの検証を行った。 (2)全菌種についての数年分の累積(異常集積)警告スコアをコンパクトに表示する方法が必要となり、累積警告スコアを色尺度で表示する、累積警告スコア・(カラー)マトリクスを開発した。 (3)累積警告スコアマトリクスによる解析で、アウトブレイクによって前兆となるアウトブレイク菌種以外の異常集積に係る菌種が異なるが、アウトブレイクの前には何らかの異常集積が伴っていることが分かった。 2)感染経路(拡散経路=rout of propagation)の予測 (1)2DCMによる拡散経路予測の自動化を目的として、4病院からリアルタイムで全細菌検査データの収集を行い、必要に応じて前向きに収集した菌株(250株)のパルスフィールド電気泳動、ファージORF PCR(POT)解析を行った。 (2)現在までの解析で、同一菌株の拡散を強く疑う必要があるのは、2DCMで同じ株の拡散が疑われて、かつ、 i.菌の時間的、空間的異常集積があるとき ii.拡散の疑われる菌の耐性度が高いとき iii.特定の菌が繰り返し分離される患者の存在があるとき であることが分かったが、これらだけで説明できない場含もあり、それらの株から院内拡散を起こしやすい株についての知見が得られる可能性を考えた。
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