研究課題/領域番号 |
21590562
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
北田 雅 京都大学, 経済学研究科, 講師 (00422949)
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研究分担者 |
小西 靖彦 京都大学, 医学研究科, 教授 (70613454)
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キーワード | メンタルケア / 初期臨床研修医 / ストレス |
研究概要 |
2004年度に制定された「新医師臨床研修制度」により、基本診療科を網羅するスーパーローテーション方式の研修が必修化された。これにより、初期研修医は2-3ヶ月ごとの診療科巡業の義務を化去られる事となった。学生から社会人への生活の変貌や、医師として未熟な診療知識および診療技術、患者からの期待と責任感等に加え、志望診療科以外での研修による精神的・身体的負担、更には2-3ヶ月ごとに診療科を異動し、それぞれのシステムや人間関係に慣れなければ仕事にならないといった精神的負担等が重なり、研修医の38,7%が少なからずうつ傾向に陥る事が知られている。本研究では初期研修医のうち、うつ関連症状を呈し欠勤に至る人物の傾向を分析し、今後の発見・早期対応に役立つ情報を与える事、そして「心の問題」を生じるリスクが高いと考えられる研修医を入職時の性格との関連性を分析し、効果の高いスクリーニング手法を構築する。 平成23年度では、新医師臨床研修制度の施行後である平成16-21年度に京都大学医学部附属病院にて行われた初期臨床研修を修了した医師を対象に、各医師の過去研修診療科ローテート表を添付した上で職業性ストレス簡易調査票を基にしたアンケートを行った。回収率は30.7%であった。各医師の過去診療科ローテーション表を同封する事で研修時においてストレスを感じた時期についての情報を添付する事で、ストレスを感じた時期を正確に特定とその申告を促した。職業生ストレス簡易調査票によるストレス分析や、ストレスを感じた時期との相関についても解析を行い、一定の結果を得た。更に、新制度により、京都大学医学部生および初期臨床研修医がどのような影響を受けたかについて、5年間分のデータをとりまとめ、論文として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
京都大学医学部附属病院にて平成16~21年に研修した初期臨床研修医修了生に、個人個人の過去研修診療科ローテート表および「職業性ストレス簡易調査票」を含んだアンケートを送付し、回収した。平成22年度末の東北大学在職時に、東日本大震災に遭遇したことやそれに伴う9月の転勤により多少アンケート結果を取りまとめる作業が遅れているため、本年中に公表できるよう準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度回収を完結した「初期臨床研修におけるストレス現状把握調査」の分析を急ぎ、論文として公表する。さらに、初期研修医のうち、うつ関連症状を呈し欠勤に至る人物の傾向を分析し、今後の発見・早期対応に役立つ指針を提供すること、入職後の問題行動の発生や抑うつ状態変化との相関性を分析し、効果の高い入職時スクリーニング手法を提案すること、現制度下における研修医のメンタルケアのあり方について具体的な提言を提示したい。
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