米国ASBHの特別委員会報告において、「臨床倫理コンサルタントのコア・コンピテンシー」は以下3つのカテゴリーに分類される。(1)核となるスキルCore Skills(倫理問題を見極める技能、コミュニケーション・スキル)、(2)核となる知識Core Knowledge(道徳的推論および倫理理論、関連法規等)、(3)人格性Personal Character(寛容さ、忍耐、思いやり、等)。英国Ethox Centerの報告ではASBHによるものを踏襲しながらも、(3)人格性に関しては「前提された人間性であるかのごとく捉えるのではなく、倫理的推論のトレーニングによって育成されるべきものである」と強調されている。したがって、(1)及び(2)における倫理的アセスメント・スキルとの相関なくしては(3)も醸成できないという観点に立脚し、コア・コンピテンシーに関しては以下3つのCore Skillsを、臨床倫理コンサルタントに不可欠な能力として提言を行う。 1.倫理的アセスメント・スキル((1)倫理的コンフリクトを認識し議論する能力、(2)関係者の倫理的側面を理解する能力、(3)症例の倫理的側面について説明する能力、(4)解決策を定式化し、倫理的に正当化する能力) 2.操作的スキル((1)症例を記録し、カンファレンスを促進する能力、(2)症例検討及び臨床倫理委員会双方を促進、(3)コンフリクト解決を見出すために必要なメディエーション・スキル) 3.対人関係のスキル((1)能動的傾聴、(2)コミュニケーション・スキル、(3)言葉にして表現することが困難な状況にある患者を代弁するアドボカシー・スキル)
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