研究課題/領域番号 |
21590572
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
濱井 妙子 静岡県立大学, 看護学部, 助教 (50295565)
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研究分担者 |
永田 文子 東京大学, 医学系研究科, 助教 (30315858)
山田 貴代 静岡県立大学, 看護学部, 助教 (40453063)
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キーワード | 地域医療 / 外国人患者 / コミュニケーション・ギャップ / 在日ブラジル人 / 異文化コミュニケーション / 外国人医療 |
研究概要 |
本年度は、対象者別に次の2つの研究を実施した。研究(1)では、医師と薬剤師対象の質問紙調査結果をまとめ、関連学会に発表した。さらに、医療従事者を対象に異文化理解を促し、外国人に対応した地域医療連携システムを模索するために、講師を招いたセミナーを企画し開催した。セミナーでは、質問紙調査の結果を報告し、ブラジルの最新医療・薬事事情(ブラジル医療の実際)、通訳者との良好な連携の構築(文化の違いによって生じる問題など日本の外国人医療の実際)について討議した。参加者は24名で、医師、薬剤師、看護師、多文化共生アドバイザーなどで、外国人医療に携わる幅広い職種であった。セミナー終了後アンケート回収率は58.3%であった。今回のセミナーにより、ことばや文化背景の違う患者さんへの理解は、「非常に深まった」が57.1%、「まあまあ深まった」が42.9%であった。また、患者が連れてきた通訳者に守秘義務を説明する必要性について「今回(初めて)知った」が92.9%で、訓練を受けていない通訳者への基本的な対応の課題が明らかになった。研究(2)では、在日ブラジル人の看護に必要なカルチュラルコンピテンスを明らかにするために、通訳を雇用している2つの医療機関でフォーカスグループディスカッションを実施した。その結果、ブラジルと日本の文化・習慣の違いに対する配慮は必要だが、看護の基本は対象の国籍に関係ないと考えており、患者及び家族の不安の軽減と信頼関係の構築を積極的に実施するため、常に患者の表情や行動を観察し通訳者と協働して患者の側に寄り添っていた。夜間や日中など通訳者がほかの業務についているときは、わかりやすい日本語、ジェスチャー、ポルトガル語の単語や通訳者が翻訳した説明書等を活用したり、患者の家族や友人などに電話通訳を依頼して、患者と意思疎通をはかる努力をしていた。 研究(1)(2)の結果から、医療現場では外国人医療に関する問題は認識されているものの、問題はそのまま放置されていること、また、医療従事者に対するセミナーの有用性が確認された。
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