本年度は、訪問看護ステーション(以下、VNSと略)の経営および看護の実態、および連携の実態を明らかにするため、都市部(医療法人立2か所、その他法人立2か所)および山間部・島嶼部など地方(医療法人立1か所、その他法人立6か所)にあるVNSでのインタビュー調査を中心に研究を行った。また、これと並行してVNSの経営実態に関する文献の収集および分析を行った。 インタビュー調査の結果、都市部と山間部・島嶼部とでは、VNSの連携に違いが見られることが明らかになった。都市部は、他の機関との連携が容易で設置する法人による明確な違いは見られなかったのに対して、山間部では、移動手段に制限が多いため、他の医療機関と連携するのは非常に厳しく、特に医療法人立ではない場合は、このことが顕著であった。島嶼部の場合、山間部よりはVNS間での連携や、VNSと他の医療機関との連携が行われおり、中には営利企業とも積極的に連携を図っているVNSが存在していた。このように、本研究ではVNS間のネットワークや他の医療機関等との連携の実態を明らかにし、今後の調査・研究の基礎を築くことができて、大変有意義であったと言える。 また、収集した文献や資料を詳細に分析した結果、VNSは制度や環境、技術の点からみると機械的構造を採用すべきであるが、多くのVNSは小規模であるため有機的構造となっていた。この矛盾はVNSの経営実態に大きな影響を与えており、VNS間のネットワークの形成や他の医療機関との連携により、早急に解決する必要があることが明らかになった。このように、VNS間のネットワークの形成や連携の重要性が理論的に明らかにできたという点で、本研究は大変有意義であると言える。
|