平成21年度の研究計画を国会図書館、米国メリーランド大学プランゲ文庫、米国議会図書館の調査による「太平洋戦争前期、戦争中、戦後の医療技術の開発とその連続性の研究」とした。21年9月にメリーランド大学と議会図書館を研究のために訪問した。議会図書館で『陸軍軍医学校防疫研究報告第2部』の原本に【BCG乾燥ワクチンに関する研究】を見つけることができた。BCG研究は日本の陸軍にて乾燥ワクチンの研究がされ、戦後の結核対策において大きな役割を果たしたと考えられる。この戦時中の研究は歴史的な評価がされておらず、日本に存在する資料を含めた研究の成果を平成22年度の日本医史学会総会にて発表する。プランゲ文庫の図書はいまだ国会図書館の公開文書にはなっていない。今回プランゲ文庫に含まれる結核関連図書の書誌をすべて記録した。それらの図書の中には国会図書館にも結核予防会結核研究所図書館にも保管されていないものが10冊以上あることが分かった。この文献については現在研究代表者が参加している、結核予防会TBアーカイブス委員会と連携して、その結核医療史上の意味を研究する予定となっている。 なお今年度中の研究発表として雑誌論文5件、学会発表5件、であり研究発表の内1件は米国プリンストン大学の招請にて行った。Yale大学Harvey Cussing医学図書館Fry Print and Drawing Collectionに含まれる漢方版画が順天堂大学山崎文庫にも同じものが存在することを確認したことは当研究課題である、日本の医療の歴史に対する、世界のまなざしと、日本の医療技術の連続性の研究のテーマから興味深いものであり論文とした。 研究論文集を作成して研究者、関係機関に配布した。
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