お薬手帳は、薬剤の重複投与や薬物相互作用の発生を防止する手段として有用である。しかしそれが現在、十分効果的に用いられているかというと、必ずしもそうとは言えない。我々は、お薬手帳をより効果的に活用するために、その記載内容を2次元コードで表示し、保険薬局で用いられているレセプトコンピュータの薬剤鑑査システムへ2次元コードリーダーで読み込み、レセプトコンピュータの薬剤鑑査システムを用いて「お薬手帳」への記載薬剤と提示された処方せんとの薬剤鑑査を行い、保険薬局窓口でのチェック機能を向上させることを考え、前年度までに研究室レベルで同システムの構築を実現した。平成21年度の研究では、先ず同システムの機能性の検証を行なった。すなわち50組の模擬処方せんを用い、2次元コードでのお薬手帳ラベルへの印字、そのレセプトコンピュータへの読み込み、さらに同日提示を想定した他の処方との薬剤監査を検討し、全て正常に監査システムが機能し、簡便に精度良く薬剤監査を行なえることを確認した。なお本成果については平成21年10月、滋賀県大津市で開催された第42回日本薬剤師会学術大会で報告を行なった。次に、臨床現場への同システム導入のためプログラムの一部改修を行なった後、近隣の1保険薬局(宮崎県日向市、やました薬局)に試験的な本システムの導入を行なった。現在試験稼動中であり、同薬局での検証を経て、広範な保険薬局への普及を目指す予定である。
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