お薬手帳は、薬剤の重複投与や薬物相互作用の発生を防止する手段として有用である。しかしそれが現在、十分効果的に用いられているかというと、必ずしもそうとは言えない。我々は、お薬手帳をより効果的に活用するために、これまでに、手帳記載の処方内容を2次元コードでも表示し、保険薬局で用いられているレセプトコンピュータの薬剤鑑査システムへ2次元コードリーダーで読み込み、「お薬手帳」への記載薬剤と提示された処方せんへの記載薬剤との薬剤鑑査を行う『二次元コードお薬手帳鑑査システム』を構築した。平成22年度の研究では、先ず同システムの機能性の検証として二次元コードリーダーでの読み込みに最適な二次元コードの大きさ、及びプリンター機種に関する検討を行い、同システムの最適な使用条件を設定した。また保険薬局薬剤師の方々へ本システムの紹介を行い、臨床現場への導入についての意見交換を行った。その結果、本システムが使用できるようになれば是非使いたい:32%、試してみたい:50%、使用は難しい:18%(n=28)であり、保険薬局薬剤師の本システム使用への興味は82%と高かった。さらにお薬手帳のより一層の普及と有効活用の方策を探るため、その利用率の低い若年成人世代に属する薬学生を対象に、お薬手帳に関する認識と講義によるその変化について検討を行い、若年成人世代からのお薬手帳有効活用への提言を得た。なお本成果については平成22年10月、長野県長野市で開催された第43回日本薬剤師会学術大会で報告を行なった。今後さらに、本システムの有用性の検証を進め、臨床への導入を目指したい。
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