研究概要 |
「未熟児養育医療事業」の給付者の背景分析 長野県の一保健所管内で2006~08年の3年間に、未熟児養育医療事業によって入院医療費の助成を受けた乳児65名について、検討を行った。本来給付の対象となっている出生体重2000g未満の児は65名中42名(64.6%)であった。また65名中12名が双胎児であった。また、対象児は男児の割合が高く、58.4%であった。出生体重と入院期間、そして公費負担額には強い関連が認められた。1000g未満で出生した児では、平均入院期間は140日、公費負担額は1258万円に上ったのに比べ、2000・2500gで出生した児では、平均入院期間は60日、公費負担額は199万円であった。入院1日当たりの診療報酬額も出生体重が低いほど高い傾向がみられ、1000g未満で出生した児では1日当たり平均公費負担額は94,655円に上ったのに比べ、2000・2500gで出生した児では1日当たり43,020円であった。同じ出生体重区分では、双胎児と単胎児では公費負担額や入院期間にほとんど差がみられなかった。本調査では、入院の原因となった傷病名は明らかではないが、児の未熟牲が入院期間の長さや高額治療につながっていると考えられた。 また、厚生労働省が3年ごとに実施している患者調査の2008年調査によると、「XVI周産期に発生した病態」のうち「妊娠期間及び胎児発育に関連する障害」に分類される0歳の総患者数は、人口千対16人であった。これは2002年の13人、2005人の14人に比べて増加傾向を示しており、長野県の一保健所管内だけではなく、日本全国で同様の傾向にあることが示唆された。
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