研究概要 |
本研究の目的は、「Web版がんよろず相談Q&A」(http://cancerqa.scchr.jp/)を用いて、がん患者や家族の問題解決過程をサポートする情報ツールの構築を検討することである。具体的には、2003年に実施したがん体験者の悩みの調査結果を基に構築したがん患者の悩みデータベースのテキストデータを用いて、(1)シソーラス辞書を構築し、実装している自由文あいまい検索システムの機能向上を図る、(2)悩みデータ同士の関連性の探索を実施する。そのうえで、このプロセスで得られたデータに基づき、がん患者や家族が情報検索した際に、問題を中心とした関連情報がわかりやすい形で可視化され、story性のある連想学習を行えるような情報提供のあり方を検討することである。 現在、シソーラス辞書構築に関しては、検索精度の検証作業中であり、検証が終了次第、「Web版がんよろず相談Q&A」に実装予定である。悩みデータ同士の関連性の探索では、9,851件の悩みの短文データ全てで行ったところ整理がつきにくいため、第1階層分類16の分類ごとに再分析を実施中である。 並行して、利用者の情報入手支援をするための問題の整理、情報の集約へのナビゲーションとなるような手法、表示デザイン、パターンの検討を開始した。悩みのデータベースでは4階層の静岡分類を用いて悩みを分類しているが、問題を中心とした関連情報を表示する際に、医療と暮らしにかかわる悩みや課題を包括的にわかりやすく表示するためにさらに項目ラベルを集約し、「患者として診療を受ける」、「日常生活を営むために必要な活動や行動」、「社会生活の問題」、「医療者や家族など周囲の人々との関係」、「こころの問題」の5つとした。そのうえで、試験的に、利用者が最初にアクセスした情報(悩みと助言)に加えて、アクセスした悩みの背景要因や関連する情報を、前述した5項目の悩みや課題にそって表示する機能を追加し、利用者の動きの分析を開始した。
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