研究課題
本研究は、敗血症病態における、おそらくは骨髄から動員されると考えられる骨髄由来多能性前駆細胞(bone marrow derived pluripotent progenitor cells ; BMDPPCs)を血液中に増加させ、急性肺傷害などの臓器傷害部位に誘導する新規治療原理を提案することを目的とする。これまでに我々は、敗血症病態で出現する幼若球と評価されている白血球系の中に、抗CD68抗体陰性(非マクロファージ性)、抗cytokeratin抗体陽性(上皮性)の特徴を持つ細胞を見出している。これらの細胞は、2型肺胞上皮細胞や血管内皮細胞に分化する可能性が考えられ、あるいは2型肺胞上皮細胞や血管内皮細胞に対し生存を促す作用があると考えられた。平成22年度までに、LPS誘導敗血症モデル肺において、細胞表面抗原の違いにより少なくとも2種類のBMDPPCsの存在が考えられた。FACSを用いた解析の結果、CD34陰性BMDPPCsは非常にacuteに動員されることが明らかとなった。一方、CD34陽性のBMDPPCsは、CD34陰性BMDPPCsよりも動員が遅いことが確認された。2種類のBMDPPCsを培養した結果、CD34陽性のBMDPPCsのみ培養が可能で、貪食能を有することも観察された。免疫細胞化学による表面抗原の解析結果から、CD34陽性細胞はマクロファージ系抗原を示さず、増殖能および分化能を有する可能性が示唆された。従って2種類のBMDPPCsは、LPSによって肺に動員されてくるが、それぞれ細胞機能が異なることが推察された。in vivoでの細胞動態を明らかにするために、GFPマウスよりFACSを用いて調整したCD34陽性あるいはCD34陰性BMDPPCsを、LPSによって炎症誘導をかけたマウスに静脈投与し、肺への移行と増殖または分化能を確認する研究を行っている。
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