研究課題
本研究ではhuman immunodeficiency virus type1(HIV-1)逆転写酵素(RT)の酵素活性に直接関与していないと考えられてきたconnection subdomainに位置する新規多剤耐性変異N348Iの意義を解明することを目的としている。平成21年度はこのN348Iが他の耐性変異とどのような相互作用をするのか、検討するために感染性分子クローンHIVをsite directed mutagenesis法を用いて作製した。特に核酸系逆転写酵素阻害剤関連耐性変異を中心に作製し、293T細胞に遺伝子導入し感染性HIVが同収されることを確認した。一方で他のグループからconnection subdomainの他の変異が多剤耐性に関与しているのではないかという報告が相次ぎ、研究代表者はN348Iと比較するために独自に本邦で薬剤治療歴のないHIV感染患者からsubtype Bを101株、non-B subtypeを16株分離し、connection subdomainにおける変異の導入程度を検討した。これまでの他のグループからの報告ではG312QやG335Dが関連するように報告されていたが、我々の解析では未治療者からもそのような変異を有するHIVが分離されること、特にG335Dはnon-B subtype HIVでは約70%程度に見られることから、薬剤によって誘導されたというよりはもともとのsubtype特異的なpolymorphismであると考えられた。さらに感染性分子クローンを用いた解析でN348I以外は多剤耐性を示さないことが分かり、おもに非核酸系逆転写酵素阻害剤であるネビラピンに対して耐性を未すことを明らかとした。現在本邦ではネビラピンではなくエファビレンツが主に使われているため、connection subdomainの変異としてはN348I以外はあまり留意する必要がないと考えられる。
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