研究課題
研究代表者らが平成19-20年度に行った「先端医療の開発に必要な臨床試験を支える倫理基盤の整備」研究で、自主臨床試験の特性として種々の点が治験と異なることが明らかになった。平成21年4月に施行された改正「臨床研究に関する倫理指針」の細則には「…被験者の負担するリスク等を評価し…リスクの程度に応じて補償する…」と記載されているが、自主臨床試験の実態を把握していない損保会社ではそのリスク評価がきわめて困難なため、政府は「医法研補償のガイドライン」に基づく治験保険に準じた補償保険の開発を指示したものの、現実にはその設定に支障を来している。このままでは、限られたカテゴリーの臨床試験のみに、限定された範囲の補償が設定されたり、著しく高額の保険料が設定されることになりかねず、研究者自らがリスク評価に取り組まない限り、問題を解決できないことが明らかとなった。今年度は、複数の損保会社の臨床試験保険担当者と、シンポジウムの場や相互訪問で、1.臨床試験保険の開発状況と問題点2.医薬品・医療機器以外の介入(細胞・組織製品など)を伴う臨床試験に対する補償3.医療費・医療手当などに対する補償について協議を重ねた。これらの成果を、平成21年6月にSan Diegoで開催された第45回米国医薬品情報協会年次大会および、平成22年1月の第1回日本臨床試験研究会学術集会2010 in東京で発表するとともに、国内外の研究者と情報交換を行った。また、未承認医療機器を用いる臨床研究も被験者保護の観点からは重要な課題であるが、平成22年3月には「臨床研究において用いられる未承認医療機器の提供等に係る薬事法の適用に関する考え方(案)」に対して厚生労働省に政策提言を行った。さらに米国食品医薬品局が発出した組織・細胞製品を用いる臨床試験の重要ガイダンスなどを邦訳し、国内の研究者に周知した。
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