研究概要 |
緑内障は眼圧の上昇などにより視神経が徐々に欠落して視野が欠損していき、最後には失明に至る疾患である。緑内障は世界的に見ても中途失明の原因第2位を占め、我が国に於いては40歳以上の約20人に1人が緑内障に罹患していると考えられている。緑内障は一度視神経が障害され視野が狭窄すると二度と回復することはなく、視野狭窄は初期に自覚されることは無く、気づいたときには症状が進行していることが多いため早期発見が重要と考えられている。症状は視神経乳頭が変形、陥没していくことにより生じるが、その変形の原因は不明で眼圧説、自己免疫説、遺伝子異常説など環境因、遺伝因それぞれ諸説ある。本研究では分子遺伝学的手法を使用することにより緑内障の遺伝子的な発症要因を解明することを目的にしている。そのためのモデルとして鹿児島県の離島に多発している狭隅角緑内障に着目した。全期間を通じた具体的方法としては、(1)同地区から検体を採取する。それを用いて(2)候補遺伝子アプローチ法により患者対照関連研究を行う、(3)全ゲノム関連解析法による疾患感受性遺伝子の同定もそれに併せて行う。(4)同定された遺伝子の機能解析を行うこととしている。 平成21年度は、同地区からインフォームドコンセントを得た上で血液検体を41検体採取した。この検体から患者DNAを抽出し、候補遺伝子MYOC,OPTN Otx2,PITX2,PAX6,OPTC,LMX1Bなどを対象にしてタグSNPを選出してジェノタイピングを行っている。現在のところ有意な結果は得られていないが今後もさらにその他の候補遺伝子を含めて解析予定としている。 これらの研究により感受性遺伝子が同定されれば発症機序の解明や治療や予防に対する一助になると考えられる。
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