研究課題/領域番号 |
21590599
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研究機関 | 岐阜薬科大学 |
研究代表者 |
中村 光浩 岐阜薬科大学, 薬学部, 准教授 (30433204)
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研究分担者 |
稲垣 直樹 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (30137062)
坂野 喜子 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50116852)
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キーワード | シグナル伝達 / 脂質 / アレルギー・ぜんそく / 薬理学 / 分析化学 |
研究概要 |
アトピー性皮膚炎は近年増加の一途をたどっており、一部の症例は難治性で社会生活に支障をきたすことから、その予防法や根本的治療法の確立に向けた病態解明が待たれる疾患である。本研究では、アトピー性皮膚炎の病態メカニズムを皮膚のバリア機能を担うセラミドをはじめとするスフィンゴ脂質代謝物に着目して分子レベルで解明する。そして、アトピー性皮膚炎に特徴的なスフィンゴ脂質代謝物を見出し、新たな診断バイオマーカーとしてアトピー性皮膚炎の診断に臨床応用することを目指している。この目的を達成するために、代表者は、高感度かつ高選択性の質量分析装置(MS)を用いる。MSを用いて網羅的にアトピー性皮膚炎患者皮膚のスフィンゴ脂質代謝物のプロファイル(網羅的リピドミクス)を検討し、薬理学的および分子生物学的知見と組み合わせることにより、アトピー性皮膚炎の病因の本質に迫る。 我々は、平成21年度に高性能質量分析装置(MALDI-TOF/TOF)を用いた皮膚脂質の測定法を開発し、健常人皮膚を用いた網羅的リピドミクスを行っている。また、共同研究者はアトピー性皮膚炎を発症させたモデルマウス表皮の病理学的検討を行っている。本研究の最終成果物は、臨床診断に応用可能なアトピー性皮膚炎診断バイオマーカーの確立であるので、その測定法は高感度、高選択でなければならない。代表者は、この目的を達成するためもう一つの定量性に優れた質量分析装置(高速液体クロマトグラフィー・MS)を用いた定量法を確立した。今後は、より選択性の高い診断バイオマーカーの探索と頑健な高速液体クロマトグラフィー・MS法の確立をめざす。本研究で特定される新規アトピー性皮膚炎診断バイオマーカーは、アトピー性皮膚炎の病態解明と診断に極めて有用なものになると考えられる。
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