研究概要 |
本研究では、ArcおよびAmidaがSUMO化を介してどのようにINOクロマチンリモデリング複合体と関わり、その機能を調節するのかを明らかにすることにより、覚醒剤など薬物依存の分子機構を解明し、これを防止あるいは治療する可能性を探ることを目的とする。これまでに以下のように検討を進めている。 (1) AmidaのCre-loxP系によるコンディショナル・ノックアウトマウスを作製した。繁殖後、線条体から得た初代培養ニューロンにCre Recombinaseを導入してAmidaをノックアウトする系を作成する。また、タモキシフェンによりCre Recombinaseを発現誘導できるトランスジェニックマウスも既に納入されており、両者を交配して形態観察、行動学的解析を行う系を準備している。 (2) Arc,Amida他いくつかの遺伝子について、薬物投与後に線条体での発現の経時的変化を定量PCR法で検討した。 (3) Arcはアミノ酸配列上に種を越えて保存されている2箇所のSUMO化モチーフを持つ。培養細胞内でHA-tagをつけたSUMOI, 2あるいは3とArcを共発現させ、ウエスタンブロッティング法を用いてSUMO化修飾が起こるかどうか検討した。SUMO1,2,3の違いについてはこれまでの実験では認められなかった。また、現在SUMOとEGFP-Arcを共発現させ、Tip49B抗体で染色して共焦点顕微鏡で共局在について解析を進めている。 (4) 2種類の神経系培養細胞系Neuro2aおよびPC12細胞において、AmidaとSUMO1, SUMO2あるいはSUMO3の安定的発現株を作成し、増殖速度、悪性度、分化誘導時の形態変化について検討した。
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