研究課題
本研究では、ArcおよびAmidaがSUMO化を介してどのようにINOクロマチンリモデリング複合体と関わり、その機能を調節するのかを明らかにすることにより、覚醒剤など薬物依存の分子機構を解明し、これを防止あるいは治療する可能性を探ることを目的とする。神経系の培養細胞Neuro2aにAmida,SUMO,Arcを安定的に発現させたところ、細胞の増殖速度および接着能に差異があることがわかったため、同細胞株の接着機能について、京都大学再生医科学研究所組織修復材料学分野岩田博夫教授、広島大学大学院医歯薬学総合研究科生体材料学加藤功一教授の研究グループと共同研究を行い、同グループが開発した細胞アレイ法を用いて細胞表面の接着分子について検討した。その結果、AmidaとSUMOを共発現させた細胞ではlaminin-1への接着性が極端に低下していることがわかり、AmidaおよびSUM01~3の導入によってインテグリンの発現頻度やそのパターンが変化しているものと思われた。そこで、このような細胞接着因子の遺伝子を定量PCR法により解析した。その結果、いくつかの細胞接着因子は、Amidaの発現やSUMO化修飾によって発現量が調節されていることがわかった。同様に、いくつかの細胞周期関連蛋白質の発現もAmidaの発現やそのSUMO化修飾によって調節されていることが明らかになり、このような機構を介して細胞増殖速度が調節されていることが示唆された。Neuro2a細胞は発生母胎であるA/J系マウスに移植することにより腫瘍を生じるが、in vivoにおける腫瘍の増殖速度もAmidaの発現によって抑制されることがわかった。現在、SUMO化による腫瘍抑制効果の検討ならびに生体内において蛍光蛋白質を撮像する機器を用いて、腫瘍内におけるAmida蛋白質の発現量の経時的変化の検討を行っている。
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Cell and Tissue Research
巻: Vol.345:2 ページ: 231-241
10.1007/s00441-011-1207-5