研究課題/領域番号 |
21590606
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研究機関 | 基礎生物学研究所 |
研究代表者 |
青野 幸子 基礎生物学研究所, 神経生理学研究室, 特別協力研究員 (20231780)
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研究分担者 |
時田 義人 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 周生期学部, 主任研究員 (50291175)
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キーワード | ニューログリカンC / コンドロイチン硫酸 / プロテオグリカン / ノックアウトマウス / メタンフェタミン / メチルフェニデート / 多動性症候群 / 脳タンパク |
研究概要 |
脳に特異的に発現するニューログリカンC(NGC)は、神経回路網形成および神経伝達に関与し、脳の成熟度、細胞の種類によってコンドロイチン硫酸鎖の付加が調節されているユニークなプロテオグリカンである。また、覚せい剤による異常行動に関連した分子としても注目を集めている。既に作成した3種類のNGC遺伝子改変マウスの詳細な解析を行い、比較検討することによって、NGCが神経回路網形成、神経伝達、あるいは行動様式にどのように関わっているのか、またNGCの持つコンドロイチン硫酸鎖がNGCの機能をどのように調節しているのかを明らかにするのが本研究の目的である。本年度は計画した課題のうち、薬物投与による異常行動抑制におけるNGCの役割に焦点を絞って報告する。 NGC-KOマウスは多動性症候群のモデル動物となることが、昨年度までの結果から示唆されている。メタンフェタミン投与後のNGC-KOマウスでみられる多動抑制の機構を明らかにする試みの一つとして、二次元電気泳動法を用いて脳タンパクの変化について検討した。最初に、メタンフェタミン投与後のNGC-KOマウス脳タンパクについて解析を行った。変化のみられたタンパクのうち、解析の容易な4つのタンパクに絞って同定を行ったところすべて解糖系のタンパクであった。次に、野生型マウスにメタンフェタミンを投与して、変化する脳タンパクがあるかどうか調べた。分子量<30万の酸性タンパクが増加していた。メタンフェタミン投与後のNGC-KOマウスではこのタンパクに変化が認められなかった。この結果は、この酸性タンパクがメタンフェタミン投与によって誘引される多動に関連している可能性を示唆するものであり、このタンパクを同定することは薬物投与による多動の機構を解明し、また多動性症候群の発症機構を解明するうえで重要であると思われる。
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