研究課題
等電点電気泳動を用いたN-ホモシステイン化apoAI測定法を確立し、平成21年度に得られた基礎データと合わせて、国際誌に論文を発表した。また、心筋梗塞患者の検体をパイロット的に測定したが、本測定法の精度においてはその値に健常者と大きな違いが見られなかった。原因の一つとして測定法の精度が十分でないことが考えられるため、精度を上げるためELISA等の開発を研究中である。一連の研究を通じて、N-ホモシステイン化apoAIの定量と同時に、未修飾apoAIと比較した機能評価試験が必要であることが示唆された。したがって、本来apoAIが持つ抗酸化能に注目し、硫酸銅によるLDLの酸化に及ぼすN-ホモシステイン化apoAIの影響を検討し、N-ホモシステイン化がapoAIの抗酸化能を抑制する可能性が明らかにされた。また、泡沫化細胞からのコレステロール引き抜き作用についても検討すべく、放射性同位元素を用いないで蛍光発色によって微量コレステロールを測定する方法を検討し、十分な感度で測定できることを確認し、現在、細胞培養等の準備を開始したところである。Truncated apoAIおよびapoE結合HDLについても同様の観点から機能検査法の確立が必要と考え、研究を進行中であるが、Truncated apoAIの抗酸化能はintact apoAIに比べて必ずしも減衰せず、むしろ抗酸化能が強くなるという輿味深い結果が得られ、その詳細を検討中である。一方、血中Truncated apoAIの定量法においては、その濃度が極めて微量であり、現状では定量的測定が極めて困難な状況にある。その原因の1つとして、Truncated apoAIのC末端のフェニルアラニンが肥満細胞由来のcarboxypepti-dase Aによってさらに水解され、作成したモノクローナル抗体が反応しなくなることが確認された。
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Ann Clin Biochem
巻: 47 ページ: 453-459