研究概要 |
平成21年度は、迅速・簡便・安価な敗血症起因菌同定ITシステムの構築と共に、以下の新たな技術シーズを開発し、それぞれを組み合わせて迅速検査の更なる実用化を図った。 1,細菌検出専用として、新たに開発した耐熱性DNA Polmerase:(株)北海道三井化学との共同開発により、新たな耐熱性DNA Polymeraseを開発した。これにより、偽陽性や感度の問題を解決した(国際特許出願:PCT/JP2010/050443)。 2,masked Primer Dimer法:リアルタイムPCRにてPrimer Dimerを非表示とする新たな方法を開発(特許出願:特願2009―23707)し、高感度なリアルタイムPCR法を実現した。 3,One Step nested PCR法:新たな方法の開発(特許出願:特願2009―23707)により、通常2回のPCRを必要とするnested PCRを1回のPCRで行うこと可能とし、迅速性を保ちつつ高特異度の遺伝子検査を実現した。 4,迅速な抗菌薬感受性試験:上記1~3の高感度・高特異度なリアルタイムPCRを、液相を利用した感受性試験と組み合わせることにより、通常3日以上かかる抗生剤感受性試験を4~6時間以内とし、迅速な検査を初めて可能とした(国際特許出願:PCT/JP2010/050443)。 5,迅速な感染症起因菌同定ITシステム(2008年度被贈呈テーマ):Tm値の組合せを菌のフィンガープリントとしてデータベースと照合することで、未知の起因菌を迅速・簡便に同定する。更にデータベース型起因菌同定ソフトウェアをweb上で利用できるように開発し、誰でも迅速・簡便に起因菌を同定できるITシステムとした。 上記1~3の高感度・高特異度な定量システムを用いて敗血症の検査を行い、簡便に高感度な定量結果を得た。また、上記4、5の技術である感受性試験と同定法を用いて、敗血症の迅速な検査・診療体制を構築した。
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