研究概要 |
リポポリサッカライド(LPS)誘発ラット敗血症DICモデルを用いた検討 (1)クルクミン投与による各種臓器でのHO-1誘導:Wisterラットにクルクミンを経静脈的に投与し、肝臓、腎臓、肺におけるHO-1 mRNAの発現量を検討した。その結果、肝臓、腎臓においてHO-1 mRNAの有意な増加が認められた(p<0.05)が、肺では有意な変化は認められなかった。 (2)LPS誘発敗血症DICモデルラットに対するクルクミン投与の影響:ラットにあらかじめクルクミンを前投与しておき、LPSを投与後、血液ならびに肝臓、腎臓、肺を採取し、血液では血算、凝固線溶系マーカー、肝腎機能など、各種臓器ではTF、PAI-1などのmRNA発現量を検討した。(1)LPS投与前にクルクミンを投与しておくと、肝臓においてTF mRNA発現は低下傾向を示した(p<0.1)が、腎臓、肺では有意な変化を認めなかった。(2)血清クレアチニンは、クルクミン投与群は、LPS投与群と比較して有意な改善を認めなかったが、血清ALTに関しては、LPS投与群と比較してクルクミンを前投与した場合に有意な低下が認められた(p<0.05)。以上の結果より、クルクミンの前投与は、炎症惹起後の肝機能の改善に有効であることが示された。 (3)LPS誘発敗血症DICモデルラットに対する一酸化炭素(CO)投与の影響:ラットにあらかじめCO放出剤であるCORM-2を前投与しておき、LPSを投与後、上記(2)と同様の検討を行った。(1)肝、腎、肺におけるTF, PAI-1 mRNAの発現に有意な変化はなかった。(2)凝血学的検査所見ならびに肝腎機能に有意差を認めなかった。以上の結果より、COの前投与は有意な改善効果を示さなかった。
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