【目的】現在、国内で販売されている血小板凝集能測定装置は用手法であり、1度に1~2名の検体しか測定できず、さらにサンプルの前処理から終了まで1名の技師を拘束することになり測定効率が著しく悪い.そこで、多検体処理ができ、かつ低コストで測定できる新しい機構の血小板凝集能測定装置の開発を目指した.反応槽は96穴マイクロプレートとし、マイクロプレートミキサーの振盪力によりウェル内の血小板浮遊液を撹拌して血小板凝集反応を維持させる機構を基本設計として装置を作成した. 【測光系の構築】回転運動による遠心力で血小板浮遊液が外側に押しやられて光が通過する中心部分の液厚が減少することで対照溶液との吸光度差が逆転することがあったため、血小板浮遊液にオイルを重層して液厚を均一にして液厚の変化を最小化し測定値の安定化を図った.その結果、最大振回転数においても液厚の変化を起こすことなく測定が可能となった.しかし、血小板浮遊液の撹拌に鉄球を加える必要があり、自動化に対応することは困難であった.そこで、凝集反応の測光を撹拌下でモニタする方法から、測光時には一旦停止する方法に変更した.その結果、1分間隔のインターバルとすることで液厚の変化を受けず且つ回転運動による浮遊液の撹拌ができる測定法が構築できた. 【従来法との比較】種々の濃度のADP、コラーゲン、エピネフリンを血小板浮遊液に加え凝集反応を測定した.ADPの最大凝集率で本法と従来法との間で一部に乖離が見られたが、エンドポイントでの凝集率はいずれの活性化物質でも良好な相関関係が得られた. 【研究成果】マイクロプレートミキサーとマイクロプレートリーダーを組み合わせた新しい測定系に基づく血小板凝集能装置を作成し、血小板凝集能を評価できる測光系が構築できた.
|