研究課題
昨年度に正常肺組織における、肺胞領域の毛細血管とリンパ管の染色を行った。血管はCD34にて染色し、リンパ管はD2-40にて染色した。リンパ管網は毛細血管のような細かいネットワークを形成しておらず、比較的太い気管支周囲に認められる。早期肺癌症例であるTypeA,B,Cの気管支肺胞上皮癌の染色を行っているが、抗体の浸透が悪いためか染色性の良い部分と悪い部分があり、昨年度認められた染色性の再現性があまりよくない。ただ、線維化部分ではリンパ管のネットワークがどうにか構築されているようである。肺胞置換性に増速している腺癌部分では、肺胞隔壁が肥厚している部分ほどリンパ管が染色される傾向にある。腺癌細胞がリンパ管にと密接に関連している像が認められえればよいと考えて観察しているが、腺癌細胞がリンパ管に密着している像は今のところ認められていない。また、リンパ管内に癌細胞が入っている像も今のところ認められていない。現在、染色性の安定化に向けて、トリプシン処理により癌組織の肺胞内に認められる粘液除去を行い、鮮明な画像を得ることができるように条件も検討している。電子レンジも試みているが、トリプシン処理の方がよい像が得られている。気管支肺胞上皮癌の中心部には線維化あり、弾性繊維が増生しているが、実際にはコラプスに陥っているだけである。線維化の中でのリンパ管増生が主体であるのか、周囲の置換性増殖を示している部分での増生が主体であるのかの検討も行っている。線維化と転移の関連が言われているので重要な点であると考えている。
すべて 2010
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Chest
巻: 137 ページ: 890-897
Intern Med
巻: 49 ページ: 1149-1153