研究課題
正常肺組織では、リンパ管網は細かいネットワークを形成しておらず、比較的太い気管支周囲に認められており、肺胞領域は虚脱しており、認められない可能性がある。昨年は、気管支肺胞上皮癌症例において、D2-40染色を行ったが、抗体の浸透が悪いためか染色性の良い部分と悪い部分があり、昨年度認められた染色性の再現性があまりよくなかったが、前処理に電子レンジを取り入れるようになってから染色性が向上した。線維化の強い中心部分では染色しにくいと考えられたが、同部でも良好な染色性が得られている。本年度は主に、野口分類におけるtypeC肺腺癌について検討した。1.中心部の線維化部分、2.肺胞置換型を示す浸潤部で線維化に近い部分、3、肺胞置換型で最外部分に分けて、リンパ管構造についてレーザー共焦点顕微鏡を用いて3次元的に観察した。線維化部分では、リンパ管密度は虚脱に陥った肺胞領域全体を加味しても高く、リンパ管は拡張していた。線維化部分での、リンパのうっ滞が、今までつぶれていたリンパ管を拡張させ、リンパ管密度を上げていることを示唆した。リンパ管内に癌細胞は見つからなかったが、このリンパ管の拡張により癌細胞がよりリンパ管侵襲を起こしやすくなっていることが示唆された。肺胞置換型部分では線維化巣に近い肥厚した肺胞隔壁部分でリンパ管の密度および拡張が、癌の最外層より強く認められるようになっている。癌部分ではリンパ管は粗い網目構造をとっており、つぶれたリンパ管が拡張し、このような構造になることが示唆された。
すべて 2011
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
Lung Cancer
巻: 74 ページ: 433-440
DOI:10.1016/j.lungcan.2011.05.006
Mitochondrion
巻: 11 ページ: 601-606
DOI:10.1016/j.mito.2011.03.009