研究概要 |
サイトカインやホルモンに蛍光色素を標識し、細胞上の受容体と結合後、その蛍光量から細胞上の受容体数をフローサイトメトリー法にて定量しようよとするnon-isotopic ligand binding assay法は、ラジオアイソトープを使用しないため、被爆の問題がなく、施設の限定を受けず、再現性があり、煩雑性やコスト面からも優れている。これまで、G-SCF、Erythropoietin、Thrombopietinなどの糖鎖を保有するサイトカインを蛍光色素でラベルし、flow cytometer上で測定後、得られた標準曲線から、それぞれのサイトカインを定量した。その延長上で糖鎖を有するホルモン受容体の定量的解析法を確立することを目的とし、糖鎖を有するホルモンである甲状腺刺激ホルモン(TSH)とその受容体発現解析への応用を検討した。まず、遺伝子組換え型ヒトTSH (Thyrogen^[○!R])をビオチン標識し、TSH依存性に増殖するTSH受容体発現細胞株であるFRTL-5細胞を用いて発現解析を試みた。数週間のTSHを含んだ培地での培養の後、細胞の生存率等を検討したのち、TSHを除去した培地を変更し、2-5日間、培養後、ビオチン標識遺伝子組換え型ヒトTSHと反応させた。その後、ストレプトアビジン標識PC5と反応させ、フローサイトメーターにて蛍光量を測定した。今回は、蛍光ラベルの効率を上げたほか、インキュベーション時間等の条件を変えて特異性と感度を検討したところ、D valueとして、最大値が0,08と、これまでに比較して、蛍光量が増した。血清を使用した臨床応用では、D value値として、0,50以上必要とされる。ビオチン標識方法をさらに変更する必要があると考え、現在、測定系を立て直している。組み換えTSHであるThyrogenに関しては非常に高価であり、量的に限られた資料を使用した。Thyrogenを新たに購入し、TSHを新たにビオチン化し、さらに感度と特異性の向上を図りたい。
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