研究課題
播種性血管内凝固(DIC)、深部静脈血栓症(DVT)/肺塞栓症(PE)、脳静脈洞血栓症(CST)などの血栓症で、止血系分子マーカーが著しい高値であるが、血栓症の病態や基礎疾患によりこれらのマーカーの変動は異なり、基礎疾患ならびに病態別のカットオフ値の設定が必要と考えられた。最も鋭敏なマーカーは可溶性フィブリン(SF)であり、最も安定なマーカーはD-dimerであった。・低分子ヘパリンやフォンダパリヌクスなどの投与症例に対して、経日的に止血系マーカーや抗Xa活性をモニターして、血栓や出血などの予防に止血系モニターが有用であることが示唆された。術後の出血には抗Xa活性のみでなく、線溶能の亢進が重要であった。・DVT、PE、CST発症時には、antithrombin(AT)、protein C(PC)、protein S(PS)などの低下例が認められた。これらのAT、PC、PS低下症のうち、遺伝子解析により二次性の低下が考えられる症例が高頻度に認められた。また、特にCSTでは遺伝性の血栓性素因の頻度が高かった。さらに、PS徳島は日本人に特有な血栓性素因と考えられた。・血漿中の組織因子(TF)抗原量ならびに白血球中のmessenger RNA量は、DICならびにDVT/PE例で著しく高値であり、TFのモニターが血栓症の診断ならびにモニターに有用と考えられた。TFの増加は炎症反応など白血球の活性化に関連していた。・感染症によるDIC患者の検討では、死亡群でSFが有意に高値であり、SFがトロンボモジュリン(TM)製剤やAT製剤の治療効果の判定に有用である可能性が示唆された。また、活性化PC(APC)とPC inhibitor (PCI)複合体の測定も、DICの診断・治療に有用であると考えられた。・血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の診断には、ADAMTS13の著しい低下やVWFppの著しい増加が有用である成績が得られた。また、活性化血小板のマーカーとして、血小板膜糖蛋白GPVIの測定も有用と考えられる。
すべて 2011
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件) 学会発表 (4件) 図書 (1件)
Int J Hematol
巻: 94 ページ: 355-360
Circ J
巻: 75 ページ: 1472-1475
Thromb Haemost
巻: 105 ページ: 40-44
Int J Mol Med
巻: 27 ページ: 255-261
巻: 93 ページ: 47-52
J Vasc Surg
巻: 53 ページ: 472-474
Thromb Res
巻: 128 ページ: 186-190
Transfus Med
巻: 21 ページ: 365-370
巻: 54 ページ: 1233-1234
巻: 126 ページ: 205-206