研究課題/領域番号 |
21590634
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
山根 誠久 琉球大学, 医学研究科, 教授 (80125682)
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研究分担者 |
潮平 知佳 琉球大学, 医学研究科, 助教 (50325833)
東上里 康司 琉球大学, 医学部附属病院, 助教 (80381226)
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キーワード | live/dead蛍光染色 / thiazole orange(TO) / propidium iodide(PI) / フローサイトメトリ法 / 酵母真菌 / 尿路感染症 / 易感染性 / 治療予後予測 |
研究概要 |
抗真菌薬感受性試験の菌発育終末点の判定を選択的な膜透過性をもつ蛍光プローブを応用して検体中の真菌を被検菌とする直接法を開発すべく、ヒト生体内における酵母真菌の存在様式を明らかにする目的で、患者尿検体を直接試料として用い、フローサイトメトリ法から解析した。酵母真菌が検出された患者中間尿を用いて、生菌/死菌の区別なく細胞内に取り込まれるthiazole orange(TO)と、傷害された細胞膜のみを通過するpropidium iodide(PI)を用いるLive/Dead染色法で尿中酵母真菌を染色し、フローサイトメトリ法で強いPI蛍光を示すdead cell群、弱いPI蛍光とTO蛍光の強弱が幅広いlive cell群、中等度のPI蛍光と強いTO蛍光を示すinjured cell群に判別した。尿中の酵母真菌は、患者の病態によって大きく変化した。ステロイド・パルス療法終了後と軽快退院した時の結果を比較すると、入院中の尿中酵母真菌はlive cell群が多くを占めていたが、軽快退院後にはlive cell群は観察されず、多くの酵母細胞はinjured cell群に分画された。免疫抑制剤を使用する腎移植患者でも、移植直後はlive cell群が多数を占めるものの、経過と共にinjured cell群に移行していくことが観察された。免疫機能低下あるいは易感染性が危惧される患者群とその種の病態にない患者群での尿中酵母真菌の存在比率を集計すると、易感染性疾患の患者群での尿中酵母真菌は有意にlive cell群の比率が高く、この種の病態にない患者群ではinjured cell群に分布した。今回の研究から、Live/Dead染色した尿中酵母真菌を直接フローサイトメトリ法で解析する技術を確立し、患者尿検体に含まれる酵母真菌の生育活性を定量的に分画することが可能となった。尿中酵母真菌の存在様式は、患者の病態、易感染性、抗真菌薬を含む治療によって変動し、予後予測の指標ともなり得る可能性が示唆された。
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