研究概要 |
本研究では、胚性幹細胞(ES細胞)の再生/自己複製に必須の分子群に着目し、肺癌特異性の高い腫瘍マーカーを開発することを目的とした。候補分子の機能解析では、NanogおよびSALL4の遺伝子発現の減少は著明な癌細胞の増殖抑制を引き起こした。特にSALL4 siRNA導入細胞はG1期とS期早期における細胞周期の停止を介し、最終的に分裂能を失って大型化した。非癌肺組織と比べた際の肺癌組織におけるNanogおよびSALL4の発現量はそれぞれ1, 000倍、50倍高まっており、stage IAから高発現していた。また、NanogおよびSALL4遺伝子の診断能をROC解析で調べたところ、感度80%(特異度93%)および感度85%(特異度93%)と優れた診断能を有していた。以上の結果から、幹細胞複製分子、特にSALL4が肺癌細胞の増殖に極めて重要であり、早期肺癌の補助診断マーカーとして有用であることが示唆された。
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