研究概要 |
【研究の目的】新規早期大腸癌血清診断法の確立 【本年度の研究実績】 (1)Dermokineアイソフォーム特異的抗体の作製と精製:HEK293細胞などにDermokine-βあるいはγをトランスフェクションして複数のクローンを確保した。また、ウサギに対してエピトープの異なる複数の精製ペプチドを皮下注射してポリクローナル抗体も作製した。 (2)癌におけるDermokineアイソフォームの発現パターン解析:大腸癌組織(早期癌20症例と進行癌20症例)と大腸腺腫における免疫組織学的解析による局在解析を行った。また、大腸癌細胞株(20種類)におけるDermokineの各アイソフォーム(α/β/γ/δ/ε)のmRNA発現状況をreal-time RT-PCR法にて行い、Dermokineの発現解析を行った。 (3)血清中Dermokine検出ELISAを確立して、特許を出願した。出願番号2007-294243「消化器癌の診断方法」 (4)早期大腸がんの血清中Dermokine診断法の有用性に関して、Journal of Gastroenterologyに論文掲載された。 血清中Dermokineの診断感度は28.6%(Tis),36.8%(T1),31.3%(T2),14.8%(T3),22.2%(T4)であり、早期がん特異的に高い感度を示した。また、既存血清腫瘍マーカーであるCEA,p53自己抗体などとの重複陽性例が少ないことも特徴であった。したがって、CEA,p53自己抗体との併用による、早期大腸がんの診断感度は64.3%(Tis),57.9%(T1),43.8%(T2),63.0%(T3),81.5%(T4)であった。一方で、Dermokine,CEA,p53自己抗体を測定した場合には、さらにCA19-9を追加しても診断感度の上積みは見られなかった。既存腫瘍マーカーとの併用で早期大腸がん診断の有用性が高い腫瘍マーカーとしてDermokineは有用であると考えられた。
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